「ブライダル都市高砂」という言葉を、看板や道路標識で見かけたことはありませんか。兵庫県高砂市は、結婚式と深いつながりを持つ全国でも珍しい「結婚のまち」です。この記事では、ブライダル都市高砂とは何か、なぜ高砂市がそう呼ばれるのか、その由来と市の取り組みをわかりやすくご紹介します。
ブライダル都市高砂とは
ブライダル都市高砂とは、兵庫県高砂市が昭和63年(1988年)7月に行った「ブライダル都市宣言」にもとづくまちづくりの理念であり、高砂市を象徴するキャッチフレーズです。
高砂市は、結婚式やお祝いの席で謡われる「高砂や この浦舟に帆を上げて」ではじまる謡曲「高砂」と、夫婦円満・長寿の象徴である「尉(じょう)と姥(うば)」のいわれの発祥の地とされています。この宣言は、こうした歴史を現代に受け継ぐものとして行われました。
特徴的なのは、この宣言が「結婚」だけを意味するものではない点です。ブライダルという言葉に「愛・長寿・和合・平和」というテーマを重ね、子どもから高齢者まですべての市民が、夢を持ち、健康で明るく生きがいのある生活を送れるまちづくりを目指すことがうたわれています。市はブライダル都市高砂のシンボルマークも定めており、使用には市の許可が必要です(出典:高砂市公式サイト「ブライダル都市」)。
なぜ高砂市がブライダル都市?由来は謡曲「高砂」
高砂市がブライダル都市を名乗る理由は、市名の「高砂」そのものが、日本の結婚文化に深く根付いた言葉だからです。鍵となるのが、室町時代に世阿弥が作ったと伝わる能の演目「高砂」です。
「高砂や〜」は結婚式の定番の祝言歌だった
「高砂や この浦舟に帆を上げて」ではじまる一節は、かつて結婚披露宴の定番として広く謡われてきました。年配の方の中には、親族の披露宴でこの謡を耳にした記憶がある方も多いのではないでしょうか。この「高砂」の舞台こそが、現在の高砂市にあたる播磨国・高砂の地です。
相生の松と尉と姥──夫婦和合の象徴
能「高砂」は、高砂の松と住吉(大阪)の松が、遠く離れていながら夫婦であるという「相生(あいおい)の松」の伝説を題材にしています。物語に登場する老夫婦、尉と姥はこの松の精霊で、「遠く離れていても夫婦の心は通い合う」ことを示す存在として描かれます。
高砂市の高砂神社には、一つの根から雌雄二本の幹が立ち上がった相生の松が生じたという社伝が残されており、尉と姥をかたどった「高砂人形」は、夫婦円満・長寿の縁起物として結納品にも長く用いられてきました。こうした背景から「高砂」は夫婦の永遠の幸せの象徴となり、披露宴で新郎新婦が座る席を「高砂席」と呼ぶ慣習にもつながっています。
高砂市の主なブライダル関連の取り組み
ブライダル都市宣言は理念にとどまらず、結婚を応援する具体的な制度にもつながっています。ここでは令和8年度(2026年度)時点の主な支援をご紹介します。制度内容は年度ごとに見直されるため、最新情報は必ず市公式サイトでご確認ください。
結婚新生活支援補助金(最大60万円)
高砂市内で新生活をはじめる新婚世帯に対し、住宅の購入費・リフォーム費・家賃・引っ越し費用などの一部を補助する制度です。令和8年度は、夫婦の年齢に応じて最大60万円が交付されます。
対象となる婚姻の時期や所得、講座の受講など細かな要件があり、内容は年度ごとに見直されます。詳しくは高砂市公式サイト「結婚新生活支援補助金」で最新の情報をご確認ください。
はばタン会員(ひょうご出会いサポートセンター)の登録手数料補助
高砂市では、兵庫県の婚活支援サービス「ひょうご出会いサポートセンター(はばタン会員)」の登録手数料を補助する制度も設けています。結婚後の支援だけでなく、出会いの段階から市が応援している点も、ブライダル都市ならではの姿勢といえるでしょう。

ブライダル都市高砂に関するよくある質問
まとめ:「高砂」は結婚の幸せを願う言葉のふるさと
ブライダル都市高砂とは、謡曲「高砂」や相生の松・尉と姥のいわれの発祥地である高砂市が、その歴史を受け継いで昭和63年に宣言したまちづくりの理念です。披露宴の「高砂席」や祝言の「高砂や〜」など、私たちが結婚式で何気なく触れている言葉のルーツが、この播磨の小さなまちにあります。
市は新婚世帯への補助金や出会い支援など、現代の結婚を応援する制度も続けています。結婚を控えている方はもちろん、ふたりの由来めぐりのおでかけ先としても、高砂のまちに足を運んでみてはいかがでしょうか。

